2015年
7月19日(日)19:30
7月20日(祝)14:00/17:00

本公演は終了いたしました。ありがとうございました。

 

 

「石/そのもの/そのまま」

正直者の会の戯声のモチーフは公演の度に毎度「あーでもないこーでもない」と頭を悩ますのですが、今回の「石」はすごくあっさり決まりました。 子供の頃、ママゴトでお皿になり食事になり、また飛行機になったり、家になったりした、あの石です。「石」は、僕らの遊びのいわば「スタートボタン」でした。
ローセキ(「蝋石」です。もうご存じない人も多いのでしょうね)でまずアスファルトの地面に線を書きましょう。その線は境界線です。土の地面に線を引くのも石ですね。と、するとまずは石は「ペン、筆記具」であったのです。僕たちはそのペンで「双六のコース」をかいたり、ドッチボールのコートを書いたりしました。更に石はコマになり、またボールになり、拳銃にもなりました。まるでトランプのジョーカーみたいに、それは何にでも変身しました。それは「僕」にもなりました。お母さん、お父さんにも。「僕の石」は「石の僕」でもあったのです。子供の世界の「の」という助詞は、まずは「所有」の「の」ではなく「同格」であったろうということです。「金の延べ棒」の「の」ですね。そして「同格」と「所有」が溶けて癒着している世界こそ「子供達に見えている世界」「子供達が生きている世界」だろうと思うのです。と、この辺り事情は過去に書いたブログの記事 をお読みいただけるとありがたいです。

その「子供達が生きている世界」に対しての憧れがどうしても捨てられないのです。だって娘を見てるとすごくいきいきしているのですもの(笑)

その世界はおそらく「文脈」や「全体性(構造)」の多くが失われた世界です。だから、とっても面倒くさい。どういうことかと言うと……
(これもいつかのブログに書いた気がしますが)何匹かのお猿さんたちの顔の画像を、新生児とか一歳児とかにみせると、その一匹一匹を識別するらしいのですね。実験の仕方としては、一つの画面を左右に分割して左右に一匹ずつ、計二匹のお猿さんの顔を次々に映していくんですって。紙芝居みたいに何枚かスライドしてゆき、被験者の目線が左右どちらに長い時間留まっていたのか?を記録してく。というものだったと記憶しています。そうすると、赤ちゃんは「それまでに見たことのある(既出の)」お猿さんの顔が、出た時には、そっちの方を、よりじっくり見てるんだそうです。説明が下手でごめんなさいね。つまり赤ん坊にとっては「あ、さっきの人(猿)や!』という感じなのでしょうね。見覚えがあるから、そっちの方を見る。この実験を大人ですると、全くそう言う偏りが現れなかったと。それはそうだろうと思うのですね。だって僕にとったらお猿はお猿でその一匹一匹を見分けられるか?というとまず無理だろうと思うからです。そう。お猿一匹一匹を認識するのはとても時間、労力のかかることですよね。僕たちは成長(?)していく中で、(それよりもしなくちゃいけないことがあるので)その手間を省く為に「お猿さん」というカテゴリーを採用しました。その結果僕たちはお猿さん一匹一匹の顔を見分けることができなくなった。(もちろん動物園で働いてらっしゃる方や、何匹もの犬と生活してらっしゃる方の事情は違いますが)赤ん坊にとっては「お猿A」と「お猿B」と「犬のタロウ」と「おばさんからかかって来た電話」と「冬の寒さ」が同平面に、平たく並んでいて、それをいちいち全部味わって確かめて…。そんな風に世界と接しているんだろうと思うのです。
お猿さんの顔が一匹一匹違うのは当たり前です。串に刺さったお団子は、カレーライスよりも、「泥だんご」とか、あるいは(色目でいうなら)信号機の方が似ているかもしれません。でも僕たちは「食べ物」と「食べられないもの」というカテゴライズを優先的に採用して来ました。(それは生き死にに関わりますからね)
一つ一つは「そのもの」であり、「そのもの性」を持っています。しかしそれをいちいち端から端まで吟味して味わって、つまり感じてしまっていると、「時間がかかる」「面倒くさい」→作業が進みません。だから「夕日の色」や「赤信号の色」や「血の色」なんかを「赤」という括りでまとめることで、僕たちは情報処理作業を軽減して来ました。 そしてある時ふと「あれ?」と思うのです。ゲシュタルト崩壊と呼ばれる現象がそれです。
「鏡を見ていて、自分の眉毛がどうにも変に思える」
「天気のいい日にベランダで本を読んでると、印刷された文字の「は」という平仮名が、どうも変に思える」
「毎日の通学路が、妙に輝いて見える」
とかとか。

「僕たちが普段感受している世界」に、僕らが知らずにかけている「文脈」や「全体性」を取っ払ってやりたいのです。
「ありのままの、面倒くさい世界の有り様」を感じたい。それは僕にとってとても気持ちのいい体験なのです。このことを僕はよく「空間が歪む」という言い方で表現します。が、実のところこれは逆で処理速度をあげる為に歪ませていた空間がその「ありのまま」に戻るということなのかもしれません…。(このことを考えるにはインターネットの世界のhtmlとcssというものがとても参考になります。これも過去のブログに書いているので、ぜひご一読ください。)

ちょうど子供の頃に石を使って遊んだように、僕たちも「石」というモチーフを「転がしたり」「積み重ねたり」「何かに見立てたり」「投げたり」「それで地面に線を書いたり」してみようと思います。「石」というモチーフを扱ってパフォーマンスをしていると、実感として「正しく遊んでいるな」という気がしてくるのです。子供の頃のように、持ちえる最大限の想像力を使って、目の前にただある世界に刮目すれば、それは実に実にカラフルにダンサブルに動き出す。そんなことが素晴らしいと思うから演劇を続けているし、その演劇の中で仮に「観客に伝えたいこと」があるとするならば、それ以外にはあり得ないと。つまり、

「目を見開いて周りを見てみな。耳をすまして聞いてみな。それだけで世界はバカみたいに、色鮮やかに動き出すから。そう。子供の頃そうだったみたいに」

特別な装置も思想も、正直者の会には必要がありません。あってもいいのでしょうが、もう既にお腹がいっぱいなのです。この世界に。石ころに。

板倉真弓

2005年より、アトリエ劇研のワークショップ「劇研アクターズラボ」で演劇を始める。同公演クラスに7回出演。正直者の会.lab

木村雅子

劇団、MONOでのスタッフを経て、インプロ(即興演劇)ユニット・トランク企画を開始。
2008年より構成・出演をしながら、インプロライブを続けている。
トランク企画ホームページ
http://trunkkikaku.jimdo.com
トランク企画ホームページ

桐山泰典

1975年、大阪河内生まれ。大学入学と同時に芝居を始め、やみいち行動、正直者の会、中野劇団、かのうとおっさんなど様々な公演に参加。 また現在、桂出丸に師事し、東梅田落語倶楽部にて落語修行中。亭号は玉子亭掛御飯。「たまごかけ寄席」主宰。

桐山さんのtwitter

浜田夏峰

学生時代から演劇を始め、主に大阪で活動する。苦手克服の為に学び始めたインプロ(即興演劇)にはまり、2001〜2004年「即興演劇集団フリーフライツ」に所属。その後もインプロを中心に活動し、「トランク企画」には第二回公演から出演している。

のりす

三谷幸喜作品『グッドナイト・スリイプタイト』に出演していた戸田恵子さんに感動し演劇を始める。劇団月光斜Teambkc及び劇研アクターズラボに俳優として参加。 <おもな出演作品> 2011年12月 月面クロワッサン「望遠鏡ブルース 秋・冬篇」作・演出:作道雄 2012年2月 京都学生演劇祭(劇団月光斜Teambkc)「Flag!Flag!!Flag!!!」 作:上野 芳広/演出:甲斐博士 2012年3月 第3回劇団大阪新人プロデュース公演「生きてるものはいないのか」作:前田司郎 演出:上田啓輔 於:谷町劇場

+田中遊です。

西陣ファクトリーGarden

更に詳しい地図

交通 最寄バス停は「今出川浄福寺(いまでがわじょうふくじ)」
もしくは「千本上立売(せんぼんかみだちうり)」です。

□今出川浄福寺行き市バス →下車北へ徒歩5分

  • 京阪出町柳駅より10分 201(千本今出川方面) / 203(北野白梅町方面)
  • 京阪三条駅より20分 59(山越)
  • 阪急四条河原町駅より20分 51(立命館大学前)
  • JR京都駅より地下鉄烏丸線10分今出川駅より5分
    51(立命館大学前) / 市バス59(山越) /201(千本今出川方面) / 203(北野白梅町方面)

□千本上立売行き市バス →下車東へ徒歩5分

  • 阪急四条大宮駅より10分 206(北大路BT) / 46(上賀茂神社)
  • 阪急四条河原町駅より20分 46(上賀茂神社)
  • 201/203/206は循環系統のバスです。行き先に注意。

駐車場はありません。路上駐車も出来ません。お車でのご来場はお断わりいたします。

7月19日(日) 19:30
7月20日(祝) 14:00/17:00

  • 前売当日:2300円
  • 22歳以下:1500円

※チケットフォームはただいま準備中です。

  • 各回とも上記時間は開演(start)時間です。開演の30分前より受付開始、15分前より開場いたします。
  • 会場は約35席で満席です。ご予約は日時を指定してくださいませ。また当日券は出ない可能性もあります。(その場合又ホームページ上でご報告します)
  • 座席は自由席です。基本的にご来場していただいた方から早い者勝ちでお席を選んでいただきます。満席の場合10席ほどは桟敷(さじき)席になります。イスに座りたい方は是非お早めにお運びください。また「お膝が悪い」などどうしてもイス席でないと観劇頂けないお客様はその旨をメールフォームのメッセージ欄にお書き添えくださいませ。出来る限り対応させていただきます。
  • ホームページでの予約受け付けは終了致しました。ありがとうございます。
    当日券の有無などは syoujikimono@i.softbank.jp又は090-6066-5845(田中)までお問い合わせくださいませ。

下の「お申し込みボタン」をクリックしていただきますと別ウィンドウでご予約のメールフォームが開きます。そちらに必要事項を入力してくださいませ。 折り返しご予約を承った旨、メール差し上げます。